2015年6月5日金曜日

とにかくエデンて名前ばっかりの商店街がある。

とにかくエデンて名前ばっかりの商店街がある。
ある区画で名字が全部鈴木みたいな地域があんたの土地でもあるわけなんだが、この商店街はそれのエデン版なのだ。
入口のバーエデンからはじまって居酒屋エデン、純喫茶エデンがその奥にあって隣にエデン書房、エデンパート2ってパブがあってエデン食堂がその上にある。地主なのか町内会長なのか、とにかく最初につけたやつがいて、次のやつは血縁かオーナーがおなじだかして、あとはふざけたのか惰性なのか看板だけ残して居抜きで三代続いたもんだからとにかくエデンがこの一角だけ建ち並んでいる。
そもそもエデンとはかつて中東に実在して動物実験をしこたまやったいわくつきの土地だ。交配の最初の成果がネズミで、最後にできたのが人間の女だった。その女の身から赤ん坊が生まれて兄弟喧嘩に発展し、戦争がおこり、というのが今では歴史の通説になっている。そのもっと昔にはエデンは聖書のうまれた土地とされていたが、この商店街では聖書のこと自体をジャーキー(干し肉)と呼び蔑んではいた。
この商店街には三人の人間のエデンがいて、もっともすぐれたエデンは「つねにみだしなみをかかさないエデン」で、まんなかのが「のびのびしたエデン」、最後のやつが「のがれのエデン」と呼ばれていた。みんなからみて格好いいのは断然「のがれのエデン」だ。のがれのエデンは芸能人に例えるなら沢向要士といったふうで、だんぜんかっこよくみりょくてきだった。他の二人のことについてはあまり覚えてない

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